結婚の話③

前回の続きです。

結婚の話② - 30代ゲイが生き方について考えてみる

 

僕は結婚相手の女性に人として確かに惹かれていた時期がありました。

 

異性として、という表現を使うべきか迷いましたが、「人として」と言った方がしっくりきます。それは友人に抱く感情以上のもので、そのことに気づいてしまってからは「結婚しても彼氏との関係は変わらない」という前提が揺らぎ始めました。

 

それで、すぐに彼氏に話しました。バカなのか?って思いますが、そういう気持ちを持ちながら黙っていられるような器用さは自分にはなく、そのまま打ち明けてしまいました。彼氏はとても困った顔をして(当たり前です)、「そうなってくると話は違ってくる」と言いました。そりゃあそうです。

 

僕の彼氏への気持ちが変わったわけではありませんでしたが、同時に彼女に対して友人以上の感情を持ち始めていて、二つの感情が共存していたことに自分自身戸惑っていました。

 

彼女に抱いていたのは(今も言葉ではうまく表せないけど)家族に抱く親愛を深めたような感情でした。今ではやっと少し冷静に振り返ることができるけど、その当時は滅多にない出会いに舞い上がっていたこともあり、恋愛感情のようにも感じていました。

 

以前にも引用させていただきましたが、バイセクシュアルでブログ発信をされているshinさんの文章をここで再びお借りします。

 

viewpoint.hatenablog.jp

僕は、恋愛という親密な人間関係にある相手と関わる時、性的な関係は、その相手とだけしかしたくない。セーファーセックスの意味もあるけれども、それだけではなく、相手を思っている状態で、他の人とするというのは、したくもないし、されたくもないと、どうしてもそこは譲れない価値観だからだ。

そこで、バイである自分の矛盾が出てくる。付き合っている状態なら、ごめん、と言って別れるという選択も取れるけれど、もし結婚をした状態で、男性に対しての性的な気持ちが、実際に行動として起こして満たしたくなった場合、どうすればよいのかと。

 

彼女との間にはいわゆる男女の関係や性的な関係はありませんでした。正直、やや欲求に近い好奇心を持ったことはありましたが、その行為が彼氏を悲しませることは明らかで、それは僕の望むことではありませんでした。

 

やはり彼女と結婚するなら彼氏と別れなければならないのか?という思いが頭をかすめましたが、彼女と二人きりの生活というのは全く想像がつかなくて、それもまた自分の望むものではありませんでした。

 

彼女に謝って結婚自体を取りやめにするという提案もしましたが、その時には互いの両親や友人への紹介も済ませていたこともあり、当然反対されました。自分自身、どこか結婚に対して諦めきれない気持ちがあったのも事実で、結局、彼女が当初言っていた「結婚とは別の恋愛対象としてのパートナー」の出現を期待した上で、自身は彼氏との関係を保ちながら結婚することを決意しました。

 

今書いていて、自分は何をそんなに焦っていたんだろう、と思います。冷静になるタイミングはいくらでもあったはずなのに、結婚すれば「何かが変わる」と信じて盲目的に突き進み、自分に向き合うことができていませんでした。

 

性自認やこちらの世界へのデビューは10代後半でしていたものの、本当の意味でゲイとして生きていく覚悟ができていなかったのだと思います。20代まではなんとなく誤魔化せていても、30代を迎えて社会の中で振る舞う自分とプライベートの自分がどんどん別のものになっていき、周りが家庭を築いていく中この先自分はどうなってしまうんだろう、という不安ばかりが大きくなって、自分を見失っていました。

 

ゲイとして生きるというのは、それを常に前面に出すという意味ではないです。そういう面を持つ自分を否定せず、相手との関係に応じて自己開示する、という生き方が今の僕の理想です。まだまだできていない部分も多いですが、そういう気持ちで人と接する(カミングアウトまではしなくても、変に自分でないものを演じたりしない)ようになってから、気持ちはだいぶ楽になりました。

 

結婚の話はもう少し続きます。