大学時代

◆初めての彼氏

友人のジローに誘われてはじめてゲイナイトに行ったのが大学2年の頃だった。名古屋の新栄駅近くでジローとその友人に合流し、同い年の3人で会場へと向かった。

 

以前高校時代の記事でも書いたが、僕は「ゲイの世界=暗くて怖いところ」だと思い込んでいた。自分のことは完全に棚に上げて、なんだか得体の知れないヤバい人たちの集まりだと。その中に自分のタイプの人なんていないだろう、と考えていた。

 

駅から5分ほど歩いた雑居ビルの地下に会場はあった。心臓がバクバクと鳴っていたのを今でも覚えている。階段を下りるごとに重低音が大きくなり、視界が暗く包まれる。受付の女装の人にお金を支払うと、手の甲に印のスタンプを押された。これで入退場が自由になるらしい。

 

会場の中は思ったより広く、50人以上の人がその空間にひしめき合っていた。薄暗い中にスポットライトが飛び交う。バーカウンターで酒を注文する人、テーブルを囲い楽しげに話をする人、ステージの前で一心不乱に踊る人、人、人。

 

この人たち全員ゲイなんだ、と思うと感慨深かった。そして「案外ふつうっぽい人が多いな」と思い、周りを見回して「むしろかっこいい人が多いぞ」と考え直した。その中に一際自分の目を引く人がいた。金髪に近い明るい色の髪をしていて、人懐っこい笑顔を周りに振りまいて…ってもういいか。お察しの通りのちにはじめての彼氏となる人だった。

 

結局自分から猛アピールをして付き合うところまでこぎつけた。一目惚れだった。

 

そのあと4年ほど付き合ったが、今となっては別れて過去の存在となった人なのでこれ以上書くことはないのかもしれない。一つだけ言えることは、その人と付き合っていた当時、以前に抱いていた男がどうとか女がどうとかいう葛藤は全くなかった。そしてそれは自分にとって衝撃だった。思春期からずっと抱えていた悩みが霧が晴れるようにきれいさっぱりなくなったんだから、衝撃という言葉以外他になかった。

 

はじめてゲイナイトに行ったのは日曜日で、結局夜通し街中にいた。翌日は一限から講義があったので、少しだけカラオケで寝て朝早い電車に乗ってそのまま大学に向かい、キャンバスのベンチに座って時間をつぶした。ほとんど一番乗りで着いた大学の光景はいつもと違って見えた。朝の光と、5月のまだ少しひんやりした空気と、ぽつりぽつりとやってくる先生や学生たち。僕はその一夜で起こったできごとを思い返していた。端から見たら一人でニヤニヤしているヤバいやつだったと思う。

 

 

◆気の合う友人 

ゲイナイトに味をしめた僕は、それから彼氏や友人と何度かそこに足を運ぶようになった。と言っても、名古屋ではゲイナイトはそう頻繁にはやっておらず、大きなものが季節ごとに1回あるかないか、というくらいだった。

 

一つ年上の彼氏はこっちの世界のことをよく知っていて、一緒にホテル代わりにハッテン場を利用したり、ゲイ向けのアダルトグッズ店・ビデオ屋にも行ったりした。未知の世界に対し当時は興味津々だった。ふつうに大学に通いながらノンケの友人たちと接する一方で、ゲイとしての交友関係・行動もぐんぐん深めていったのがこの時期だった。

 

2回目か3回目かは忘れてしまったが、ゲイナイトに行ったときに気の合う友人に出会った。ジローの友人の高校時代のクラスメイトらしい。名前は適当にトモキとする。同じクラスに「仲間」がいるのは羨ましく思ったけど、どういう経緯でお互いにそうだと気づいたんだろう。と、僕がそのままそのことを質問すると、お互いに「勘付いていた」ということらしい。すでにゲイデビューをしていたジローの友人が、トモキもそうであると確信を持って先にカミングアウトしたそうだ。

 

話を聞くとトモキは僕と同じ大学に通っているということだった。すぐに打ち解けて当時ハマっていた音楽の話などで盛り上がった。

 


BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」

 

ちなみに盛り上がっていた音楽とはバンプのことです。トモキは最近はめっきり邦楽を聞かなくなったようだけど、自分は当時好きだったアーティストは大体今も好きなまま。バンプはメロディーも声も好きだけど、やはり歌詞に心惹かれる。この「話がしたいよ」は映画の主題歌で聞き覚えはあって、先日出たアルバム「aurora arc」がきっかけで初めてしっかりと聞いてみた。2番の歌詞が気になった。

 

ボイジャーは太陽系外に飛び出した今も 秒速10何キロだっけ ずっと旅を続けている

それの何がどうだというのか わからないけど急に 自分の呼吸の音に 耳澄まして確かめた

体と心のどっちに ここまで連れて来られたんだろう どっちもくたびれているけど 平気さ お薬貰ったし 飲まないし

 


 

トモキとはそれ以来縁が深まり、ジローや彼氏を交えてたまに飲んだり、数年に一回旅行に行ったりする間柄になっている。

 

トモキは僕が結婚していた頃に面と向かって「やっぱり良くない。彼のことを思っているなら今からでも考え直した方がいい」と言ってきた。その頃は自分の中でも罪悪感が膨れ上がってきていてどうにもならない気持ちでいたので、思い切りぶった斬ってくれて助かったと今振り返って思う。

 

後半ちょっとブレましたが、大学時代の話は一旦ここまでにします。

 

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