高校時代

僕が自分の性的指向についてはっきり自覚したのは高校3年生の頃だった。

 

初めての彼女の話で書いた葛藤や混乱はその後も続いたが、ついに自身がゲイであることを認めざるを得ない出来事が起こった。

 

起こったというよりは自分がしでかしたと言った方が正確だ。勿体ぶっても仕方ないので結論を言う。同級生の男子を好きになり告白した。

 

今日から数回に渡って高校時代のことを書こうと思う。できれば起承転結で4話程度にまとめたい。

 


 

【起】入学・出会い

 

彼を好きになったきっかけを必死に思い出そうとしているが、どうもそういった明確な瞬間があった訳ではなさそうだ。少しずつ惹かれていった、ということにしておく。

 

彼とは入学以来3年間ずっと同じクラスだった。顔の雰囲気がどことなく嵐の松本潤に似ている(と多分僕だけが勝手に思っていた)ので仮に潤くんと呼ぶことにする。

 

中学を卒業した僕は、新たな環境で水を得た魚のように明るさを取り戻した。ちょうど高校デビューという言葉が流行っていた時期で、中学時代を知る周囲(せいぜい学年に10名程度だった。今思えば遠くの学校をわざと選んだ面はある)からすると「あいつデビューしたな」と映っていたかもしれない。

 

自己認識としては引越しを繰り返す前の自分に戻ったというだけだった。バカみたいに騒がしい訳ではなく、人並みに社交的な面を持ち、普通に授業を受け、たまにハメを外して校則を破り先生に怒られるような、どこにでもいるような高校生として過ごしていた。

 

潤くんはどちらかと言えば大人しいタイプだった。目立つ雰囲気はないものの、玄人受けする(?)感じがあった。深く付き合ってみると面白い面がスルメのように出てくる、と言えば伝わるだろうか。

 

僕と潤くんは初めから仲が良かった訳ではなかった。「潤くんめっちゃ面白いよ」と彼をよく知る友人から言われても全くピンと来ていなかった。悪い印象など全くなかったものの、正直言って特別興味を惹かれるような対象ではなかったと思う。

 

端的に言って彼は僕の仲で存在感が薄かった。また相手からして僕も同じような存在だったと思う。これからも特に深く関わることはないだろうな、と思っていた。もちろんその予想は大きく外れた。

 

<注釈>

中学の頃に書いた文もそうだったが、なるべく当時の感覚を思い返して書いている。ここだけ読むと急に人が変わったような印象を受けるかもしれない。このブログで自分の気持ちを隠すのは嫌なので早めに白状しておくと、高校時代の僕は、以前にあれほど拒否感を示していたカースト的価値観を逆に利用しているような感覚があった。

 

どうせ避けられないなら上に行ってやる、というような。「彼は僕の中で存在感が薄かった」なんて、今の自分・または思春期前の自分ならまず口にしない言葉だ。

 

特に上には行けていないので心配しないでほしい。そうなっていたら30過ぎてこんなブログを書いていないだろう。負け惜しみでも何でもなく、後に社会に出て早々にそういう世界からは退場した。

 

早い話、自分が残念な勘違い野郎だった、ということだが、先の理由ゆえに勘違い野郎特有の軽率な表現が今後も出てくる可能性があることは先に断っておきたい。注釈終わり。

 


 

書きながら色々と思い出している。潤くんのことを好きだと認識した最初の記憶は、学校から電車と徒歩で1時間近くかけてやっと辿り着くという、山奥にある彼の家に泊まりに行ったときのことだった。

 

山奥というのは大げさではない。僕の実家もなかなか田舎だが、程度で言ったら彼の実家の足元にも及ばない。僕の実家は何と言うか中途半端で、山の上にありつつも将棋や囲碁の盤のように区画整理された住宅街だったが、彼の実家は山と川と畑に囲まれ、隣家との境目もよく分からないような正真正銘の田舎だった。住民は家の鍵さえかけない。

 

同じ田舎なら潤くんの家に生まれたかった、と僕は言った。でも不便だよ、と彼は答えた。こんなド田舎、と照れたように付け加えつつも、その顔は少し誇らしげに見えた。

 

記憶が色濃く残るのは彼の実家で過ごした夏の夜のことだ。僕らは高校2年生だった。僕からするともはや草原としか思えない潤くんの家の「庭」に寝転がり、二人で星を眺めていた。

 

続きます

 

*タイトルが思いつかなかったため何の捻りもない「高校時代」になりました。ひょっとして後日変えるかもしれません。

 

同性愛・ゲイ(ノンアダルト)ランキング