初めての彼女⑤ ≡ Nくんの話と「フレーム」について

前回の続きです。

 

タイトルに掲げておきながら、実はNくんとの間には大したエピソードはありません。それでも書こうと思った理由は前回触れた通り。

 

「初めての彼女であるSさんの話を書くうちに当時の精神的混乱が戻ってきてしまったので、気になっていた男子の話を書くことで現在の自分に近づきたい」ということです。

 

もちろん「現在の自分」にもそれなりに悩みや迷いはありますが、少なくとも性的指向に関しては大分クリアになっています。

 

 

Nくんの話

Nくんは中3のときに僕が気になっていた相手だ。

 

今思えば彼はSさんに似た部分があった。それはしっかりと自分を持っていて周りの雰囲気に呑まれない、ということ。

 

どこか陰湿な雰囲気のあった学校内で、彼らは屈託のない明るさを保ち続けていた。その根底には優しさと強さがあったように思う。つい周りの顔色を伺って行動してしまう僕にとって、彼らの存在はとても眩しく映った。

 

 

Nくんはサッカー部に所属していた。小柄で黒髪、日に焼けた肌の色が印象に残っている。

 

中3の時に保健体育の授業で隣の席だった。基本はまじめで穏やかな雰囲気だが、たまにウィットの効いたジョークを言って笑わせてくるような子だった。冗談を言った後にいたずらっぽく笑う顔がかわいかった。

 

僕は月に1回程度の保健の授業が楽しみだった。それがNくんと話す唯一の機会だったからだ。小中と同じクラスになったことがなく接点は皆無だった。共通点がほとんどないにも関わらず、保健の授業では意気投合して色々な話をした記憶がある。

 

当時は「自分はみんなと同じように異性を好きになるんだ」いう思い込みが強く、彼にハッキリとした恋愛感情を持つまでには至らなかった。でも、Nくんに関しては出会うタイミングがもう少し後だったら好きになっていただろうという確信がある。

 

このあたりはSさんへの気持ちと対照的だ。心の中に「好きになるフレーム」のようなものがあって、そこに違和感なくすっぽりハマるのが同性。どう頑張っても枠からはみ出してしまうのが異性。自分にとってはそんな感じだ。

 

ただそれだけのことがどうしても認められなくて、これまでに何度も試行錯誤を繰り返した。無理やり嵌め込もうとするあまりフレームがガタガタになって、心だけでなく体にまで支障を来したこともあった。

 

色々あったが、やはり結婚が一番迷惑をかけたと思う。自分が傷つくだけならまだしも、相手やその家族・自分の周囲にまでダメージを与えてしまった。

 

結婚した時、僕には今の彼氏がいた。フレームの例えをもう少しだけ続けると、当時そこに少しの隙間があり、そこに期せずして入ってきたのが結婚相手の女性だった。

 

「期せずして」と書いたが、もちろん最終的に自分(たち)が意思を持ってしたことだ。誰かのせいにするつもりはない。でも、それはおそらく周りが思っているよりはいくらか自然に進んでいったことだった。

 

今の自分が過去に戻っても結婚はしないが、当時の自分の感覚なら何度やり直しても止められなかっただろう、と思う。

 


 

この話は一旦ここで終わりです。結婚の話は続きますが、どういった形で書き進めるかは自分にもまだ想像がついていません。読んでくれている人がいる限り「続けること」だけは決めています。 

 

現在だったり過去だったり、また全く関係のない話で横道に逸れることも多分にあると思いますが、もう少しお付き合いいただけたら嬉しいです。

 

 

同性愛・ゲイ(ノンアダルト)ランキング